シンタくんとバレンタインの約束を取り付けたものの、興奮しすぎて考えがまとまらなかった私はいつものように雪に助けを求めた。



ちゃんとシンタくんにチョコレートを渡せることになったと報告したら、



「じゃあさ、2人で一緒にチョコレート作ろうよ」



雪から提案されたのは、料理が苦手な私にとってかなり難易度の高い挑戦。



でも、その女子力満載のチャレンジをぜひともクリアしてみたくなって私は二つ返事でその提案を受け入れた。



チョコレートのレシピはお菓子作りが得意なくららさんに教えてもらった。



急な私のお願いにも嫌な顔1つせず、くららさんがさらさらと書いてくれたレシピは、誰でも簡単に作れるというトリュフチョコレート。



バレンタイン前日に材料を買い込んで、私の部屋でチョコレートを作り、当日は渡せないカイチくんとくらら先生のところへ2人で届けに来た…という次第。



くららさんは私たちが渡したチョコレートを持って厨房へさがっていき、
雪は「せっかく来たからお花を買って帰る」と下のフラワーショップへと降りていった。



カイチくんが残された私の前の椅子を引いて腰を下ろす。



中途半端な時間のせいか私たち以外には、さっきくららさんが接客していた女性二人組しかお客様はいなかった。