『ーーーそろそろさ、全部片付きそうなんだよね』
しばらく他愛ない話をしてからシンタくんが言った。
「そうなの?」
相変わらず詳しくは教えてくれないけど、シンタくんは毎日忙しそうに動き回っていた。
話を聞いているとお店もだけど管理しているアパートの方も相当立て込んでいるらしかった。
ちょうど新生活シーズンに入るからそういう時期なのかと勝手に想像しているが体を壊さないか心配になる。
なのにシンタくんは
『自己管理はしっかりしてるから大丈夫。
それより千波が気を付けな。扁桃腺とか大丈夫?』
と言って、逆に私の心配ばかりする。
『後1週間か……悪くても10日はかからないと思う。
その後はすぐには店開けないし、少しゆっくりできるかも』
シンタくんの言葉に瞬時に壁に掛けられたカレンダーへ視線を走らせた。
1週間から10日後……。
私の視線がある数字の上で止まった。
そして、その数字を恐る恐る口にする。
「じゃあ……14日は会えるかな?」
電話の向こうでシンタくんがふっと笑った。
『いーよ。 その日は空けておく。
くれるの? チョコレート』

