「そっちは……」
顔が真っ赤になるのを自覚しながら俯いて、2ヶ月前の告白場面を思い返す。
ーーーあれ? あの場合告白したのはどっちになるの……?
鮮明によみがえるのは、私の涙と鼻水の大洪水。
それと共にシンタくんに叩きつけた積年の想い。
バカ!だの…、ナメるな!だの…、
お行儀悪い言葉もいっぱい付けて泣き叫んだ自分の姿。
「…………ごめんなさい。よく分からないかも…」
とてもじゃないけど正直に話す気にはなれなくて、俯いたまま誤魔化した。
そんな私を香折さんは優しく見つめたまま「そっか…」と言ってクスリと笑った。
「さて、さっき千波ちゃんに訊かれた質問に答えなきゃね」
一息ついた香折さんは椅子の背もたれに体重を預けて、短い髪をくしゃりと右手で触ってから、またゆっくりと語り始める。

