「はい。いらっしゃい。
ねえ、おまけしてあげようか?」



食券を受け取ってくれた白い割烹着姿のコロコロしたおばちゃんがしわくちゃな笑顔で私に語りかける。



「え?おまけ?」



「今日は思った以上に学生さん少ないからね。
そんな中真面目に学校に来ている生徒さんにはサービスしてあげるよ」



更に笑みを深くしたおばちゃんがそう言いながら
「このままじゃ食材たくさんあまらせちゃうからさ」
とぶっちゃけてくれた。



そういうことか、と納得して頷きながら私は考える。
今日のA定食はミックスフライ。
揚げ物をこれ以上サービスしてもらっても食べきれる自信がない。



「じゃあ、付け合わせのマカロニサラダとキャベツを大盛りにしてよ」



何もサービスはいらないとは言いづらく、折衷案を出した私の後ろから



「おばさん、私はエビフライおまけしてほしいな」



聞き覚えのある綺麗な声がして、私の右隣にトレイを置いて並ぶ女性。



「あ……」


「久し振りだね。千波ちゃん」



私にニコリと微笑みかけてくれたのは、語劇祭以来の再会。



棚橋 香折さん、だった。