バイトがあるだけ夏よりマシか…。



無理矢理自分を慰めつつ、定番のA定食の食券を手に注文カウンターに歩いていく。



教師を目指す私の役に立つこと、加えて兄が同じ職場にいることで両親も私のバイトを快く認めてくれていた。


おかげで夏みたいに休み丸々帰ってこいとは言われない。


だけど、バイト先の上司たちが気を遣ってくれて3月の後半にはまとまった休みがもらえたのでそこはきちんと帰省しようと思っている。



上京して約1年。
一人暮らしで色々な経験と苦労を重ねた私は素直に親に感謝できるようになっていた。





「その前には何とか会えるかな…」


また1人でボヤきながら考えるのはもちろんシンタくんのこと。


前期も後期もテストが終わった日に私は同じようなことを考えている。



そのことに気付いて思わず苦笑いしながら、私は食券をカウンターの向こうにいるおばさんに手渡した。