『俺、もっと頑張らなきゃな、って思えるんだわ。千波といると』
「……何言ってるの？
シンタくんは、すごい頑張ってるじゃん。むしろ頑張りすぎだよ。
それ以上頑張ったら倒れちゃうよ？」
私の抗議にシンタくんは小さく笑った。
『そんなことないでしょ？
これくらい普通だろ。清海やかっきーはもっと頑張ってるように見えるし』
「そんなこと……」
ないよ、とは安易に続けられなかった。
兄も柿本さんも確かに頑張ってるから。
『来週からしばらく店閉めるから』
唐突にシンタくんが切り出す。
不安的中。
でも、私はそう言われることを予想していた。
「そうなんだ。改装でもするの？ 」
『そこまで大げさなものじゃないんだけど……』
シンタくんは歯切れ悪く言葉を切って、しばらく黙る。
今度は私も何も言わなかった。
『ーーーうーん。まぁ、色々考えるところあってね。
ちょっと店に手を入れようかな、とは思ってる。ちょっとだけね。
それで、当分メチャクチャ忙しくなりそうなんだ。
だから…会ったりとかも出来ないと思う、しばらくの間』
シンタくんは、ゆっくりと、これまた私が予想していたことを口にした。
