「……あの、マドレーヌありがとう。
それと、今日は急に押し掛けるようなことしてごめんなさい。
しかも返信メッセ確認しないで」
沈黙を破って、ずっと言わなくてはと思っていたことを漸く口にする。
『ん? あー、いいよ別に。
最初から怒ってもないし。
マドレーヌ食ってくれたの?』
「もちろん。さっきいただきました。
すごく美味しくて、2個食べちゃった」
『さっき2個って……。こんな夜中に太るぞ?』
「う、うるさい! 大丈夫だもん!」
私の反応にシンタくんが楽しそうに笑った。
『はー……、やっぱいいな』
しばらくしつこく笑っていたシンタくんがポツリと呟いた。
『こうやってさ、千波と話してるとそれだけで元気になる。
疲れが全部飛んでくよ』
その声音がいつも以上に優しく感じて、何故か私に不安がよぎった。
かけてもらっている言葉はありがたいのに。
とても嬉しいはずなのに。

