「これだけは言っておくけど、マスターは千波ちゃんのことキチンと考えてるからね。
これはさっきの話だけどさ、千波ちゃんのかわいいワガママなんて全然気にしないでむしろ喜んでるからね?
分かるでしょ?」
指差されたのはマドレーヌが入った紙袋。
そう言われたら、これ以上は粘れない。
「……分かった。じゃ、私この件はシンタくんが話してくれるまで待ってみる。
でも、かっきーさんの描いたデザイン見てみたい。
他のでいいから見せて?」
笑顔に戻った私に安心したように「いーよ」と言いながら柿本さんはもう一度スケッチブックをめくりだした。

