「ありがと……。何かラクになれそうな気がする」
本当にいつの間にかあちこちに入ってしまっていた力が全部抜けた気分。
久し振りにものすごくスッキリしている。
「あんまり無理する必要ないってことだね」
「そうそう」
柿本さんは嬉しそうに何度も頷いてから
「うあー」と奇声を発して頭を抱えた。
「……どうしたの?」
「俺、人生でこんなカッコいいこと言ったの初めて。
マスターとかさらっとこれくらいのこと言えそうだから対抗してみたけどもうムリ。
何か身体中のあちこちが痒い」
大真面目に体のあちこちを触りだす柿本さんに目を丸くした後、また吹き出してしまった。
「なにそれー。
かっきーさんすごくカッコよかったのに。
シンタくんなんてどんなにキザなこと言っても平然としてるよ?」
「ムリ! 俺にはムリ!
くっそー、そういうとこが違うんだな。俺とマスター」
本当に悔しそうに言いながら真っ赤な顔をしている柿本さんを見て、私は更に明るく笑った。

