「まぁ、色々あるってことだよ。
それにさ、恋の進み具合なんて人それぞれでしょ?」
白菜を切りながら自分に言い聞かせるように言った私に雪は渋々という感じだったけど頷いてくれた。
「うん……。千波が幸せならそれでいいんだけどね。
しかしまぁ、恋が始まってもあまり甘くないんだね。千波の初恋って」
「ハハハ……。そうかも」
笑ってみせたけど、内心ちょっぴり傷ついた。
「おーい。支度まだできねーの?
俺もカイチも腹へったんだけど」
背後から竹田くんの声が飛んでくる。
「あーもう! うっさいなー。
すぐできるわよ。あんたたちも皿を並べるとか飲み物用意するとかくらいしなさいよねー」
竹田くんとカイチくんのもとまで歩いていって2人の背中をドンッと叩く雪は皆のお母さんみたいで、私は思わず吹き出した。
実際、四人姉妹の長女である雪にはそういうポジションがよく似合う。
竹田くんとの交際も普段リーダーシップを取っているのは雪だ。
でも、雪が立ち止まったら背中を押してくれるのは竹田くんで2人はそうやって良いバランスを保ち続けている。
同じ立場で同じ環境に過ごす雪と竹田くんは、そうやって自分たちの形を作り上げるのが早かったように思う。
元々が中学からの同級生でお互いを知り尽くしているからだろうか?
私とシンタくんはどうなんだろう?
また考え込んでしまいそうになって頭を振った。
今はこの新年会を楽しむことを考えよう。
私は強引に気分を切り替えて、刻み終わった白菜を大皿に盛った。

