「俺の名前はね、芯が太いって書いて芯太」
工藤さんが空に向かって字を書いて見せる。
「芯……太?」
私も同じように空に指を走らせると、「そうそう」と工藤さんは何度も首を縦に振った。
「一本太い芯の通った男になれ!って親父がね…。
俺はそーゆーの苦手っていうか、プレッシャーっていうか?
だから、自分の名前があまり好きじゃなくて、今はカタカナで自分の名前書いてるんだ」
「えー。勿体ないですよ。
すごくステキな名前じゃないですか。
芯太って字も響きも私は好きですよ?」
「それホントに?
クサカンムリ忘れちゃったら、何て読まれちゃうか知ってる?」
私はもう一度空に指を走らせて
「トコロテン(心太)!!」
すごく得意気に答えてしまった。
大学生を相手に。
「良くできました」
まるで保護者のように頭をヨシヨシとされた途端に、
自分の子供っぽい言動に気付き、顔に熱が集中するのが分かった。
何やってんだろ…私。

