『単なるおバカさん』
相変わらず歯に衣着せぬ雪の言い様に今更傷つくことはないけれど、
何とか否定はしてみたいと頭を働かせる。
だけど、言い訳1つ思い付かなかった。
だって、本当に雪の言う通りだったから。
私たちの恋は、やっと成就した私の初恋は、ほとんど進展していない。
いや、正確に言えば私とシンタくんの繋がりかたは劇的に変わった。
想いが通じあった翌日には、シンタくんはずっと登録を渋っていたLINEを開始。
毎日仕事の合間にメッセージを送ってくれるようになった。
殆どがお店に面白いお客さんが来たとか、新メニューを考え付いたとか、シンタくんの仕事に関する内容ばかりだったけど、私から送るメッセージもそれと大差ないものだ。
毎日の大学での出来事やアルバイトの報告。
恋人らしいデートの約束なんて、たった1回
『約束のラーメン屋連れてって』
私からおねだりしたきり。
つまり、シンタくん発信のお誘いはまだ1度もない。

