「まあ、2人で少しおしゃべりしてくればいいよ。
今は暇だからさ」
言い合いに一区切りついたところでくららさんはカイチくんの肩を叩いてさがっていった。
「もう……。何かごめんね?」
くららさんが座っていた椅子に腰掛けながらカイチくんが頭を掻く。
「別に謝ってもらうようなことじゃないよ。
私よりカイチくんの方が大変そう」
「俺は全然大丈夫。
くららさんの扱いはもう慣れた」
カイチくんの言葉にクスリと笑う。
「バイトうまくいってるみたいだね」
「うん。透さんにもくららさんにも良くしてもらってるし。
メインはこっちのカフェなんだけど下のフラワーショップも手伝ってるんだ。
そっちもすげー楽しい」
夏休み前に私に会うためにこの店に来てくれたカイチくんは、その時の言葉通りここの常連になった。
くららさんや透さんとすっかり打ち解けた頃、くららさんの妊娠が発覚。
同時につわりも始まって今まで通りに働くことが難しくなってしまった。
お2人がバイトを雇うことを決めた時、白羽の矢が立ったのがカイチくんだったのだ。
「声をかけてもらえて本当に良かった。
こんなにいいバイト他のやつに譲れないよ」
そう言って笑うカイチくんを見てたら私まで嬉しくなった。

