「良かったー。切りすぎたかなって少し後悔してたんですよ」



ホッと息をついて、紅茶に口をつける。
鼻に抜ける薔薇の香りと紅茶の温かさが身にしみた。



「前のロングヘアも綺麗で素敵だったけどね。
そのくらいの長さの方が溌剌として千波ちゃんのキャラにはあってるんじゃないかな?

何だか大人びても見えるし。

それは髪形だけじゃなく内面の変化もあるのかしら?」



「まぁ……。今年は成人になりますからね」



曖昧に笑ってみせる私にくららさんはクスリと微笑んでから



「彼氏もきっと褒めてくれるわよ。

ほら、早速目を丸くしてるわ」



「え? 」



くららさんの目線を追うように振り向いた私の目の前にはパンケーキがのった白いお皿を手にしたカイチくんがバツの悪そうな表情で立っていた。