「随分久し振りね?」



くららさんが置いてくれたティーカップからはほのかに薔薇の香りがした。



「すみません。 ご無沙汰しちゃって。

秋からバイトを始めたらなかなか時間が取れなくて」



「いいのよ。時間がある時にちょっとでも顔出してくれたら寂しくないわ」



相変わらずの優しさ満タンの微笑みを浮かべたくららさんは、そのまま私の前の椅子を引いて腰掛けた。



「ちょっと見ないうちに大人っぽくなった? 髪を切ったからかな?」



「似合ってます?実は今日切ってきたんでお披露目するのくららさんが初めてなんですよ」



私は肩先で揺れる毛先に手をやりながらくららさんに訊ねる。



「あら、そうなの?
結構大変身なのに私なんかが一番乗りで良かったのかな?」



そう言ったくららさんは少し首を傾げて私の姿を見つめて、やがてにっこり笑って言ってくれた。



「うん! すごく似合ってる」