「……もう大丈夫?」
ありったけの優しさを込めて髪をくしゃくしゃしてやると真っ赤な顔のまま頷く千波。
可愛くて可愛くてもう1度抱き締めようかと思ったけど、それをしてしまったら永遠ループになりそうなのでグッと堪えた。
「私……立ててるね…」
「へ?」
ボソッと呟かれた言葉の意味が全く分からず、千波の髪に突っ込んだままの指が止まる。
「さっきまで、緊張しすぎて腰抜けちゃってて…」
「…………もしかして、それでここでココア飲みたいって言ったの?」
「うん……」
「可愛すぎだろ…それ。
イエローカードものだっつーの」
「だって……」
唇を尖らせて俺の胸元をまたポカポカ叩き出す千波は、自分のその仕草がどれだけ男の理性を崩壊させるのか全く分かっていない。
あー、どうしてくれよう。
このプリティモンスター。
……早くもイエローカード累積でレッドカード寸前。
レッドカードになっちゃったら、
俺ってどうするんだろ?
ガラスの理性vsプリティモンスター?
…………せめて硬化ガラスにしておかなきゃ。
いつの間にか楽しそうに俺にじゃれつき始めた千波をあやしながら、
俺は、幸福な悩みに小さく息をついた。

