「…シ……シンタくん…、お母さんが千葉……にいることは話してくれた……よね?」
嗚咽で途切れ途切れの質問に俺は頷く。
「うん。おふくろがどうしてるかって聞いてくる人がいるからね。
そういう時はああやって何でもないようなフリして話してるの。
ちょっと体と心を壊しちゃったけど、今は千葉で元気にやってるよ。
農業にハマっちゃって帰ってこないんだー…って。
千波にもそうやって話しておこうって思った」
「……強がり…だったんだ……」
テーブルの上にみるみる築かれるティッシュの山。
「そうだな。まさしく強がりだよ。
他の誰にも同情されたくないから何でもないフリをするんだ。
おふくろの記憶のことは絶対に言わないって決めてる。
でも、千波に話した時は違ってた。
本当のこと話して嫌われたり幻滅されたくなかった。
同じ強がりでも、千波だけは全然意味が違ってたな」
休みなく涙を拭っていた千波が一瞬固まったように見えたけど、俺は話を続けた。

