「ねー、そういえば何で私がココア好きだって知ってるの?」
「何でって……。自分で言ったでしょ?
ちょっと濃いめのココアが大好きだって」
「そうだっけ? いつ?」
「そんなの覚えてない。
だけどお前ってちょいちょいさりげなく自分の好み伝えてくるよ?
ドレッシングは和風が好きとか、中濃ととんかつソースは好きだけどウスターソースは嫌いとか」
「そうなの? 確かに全部合ってるけどさ…。
ドレッシングはともかくソースのことなんて話すかなあ?」
首を捻る千波に向かい合うように、俺はソファとは反対側に置かれていたシステムデスクの回転椅子を引っ張ってきて腰を下ろす。
「じゃあ、ソースは清海に聞いたのかも。
あいつ千波のことよく話してるから」
「そうだよ。きっと」
何でもないようなとりとめのない会話。
だけど、千波と交わすそれはとても心地がいい。
そんな気持ちを噛み締めていたら、千波がポツンと呟いた。
「ホントにシンタくんは私のこと何でも知ってるよね」

