「おじゃましまーす」
店の鍵を開けてドアを押さえてやると千波は俺の脇をすり抜けるようにして中に入っていった。
たった数10分の眠りでどれだけの充電が出来たのか、その溌剌とした足取りに感心のため息が漏れる。
「すぐ暖房入れるから」
荷物をカウンターに置いてエアコンを操作する。
「大丈夫だよ。寒くない。
この中随分暖かいよね?」
「まーそうね。陽当たりだけは抜群に良いから」
「そっか。
……良かったね、いっぱい日光浴できて」
何に話しかけているのかと振り向いたら、千波は窓際に置かれたコンシンネの葉っぱを愛しげに撫でていた。
「千波、買ってきた荷物こっち」
はいはい、と俺に押し付けられる紙袋。
「で、自分の荷物、今日はさーーー」
「バックヤードに置けばいいんでしょ?」
勝手知ったる、という様子でパタパタと自分のバックを片手にバックヤードに向かっていく背中を見送りながら、
俺はカウンターの中に入って電気ポットの電源を入れた。

