ガタン……ゴトン……ガタン……ゴトン……
電車は着実に俺たちを目的地まで運んでくれている。
満たされたお腹。
暖かな陽射し。
心地よい振動。
これだけの条件が揃えば、襲ってくるのは当然睡魔。
千波は俺の左隣でさっきから小さな欠伸を何度も噛み殺している。
「寝ていいよ?着いたら起こしてやるし」
「ん……。大丈夫。
ねえ、何か話しててよ。黙ってるから眠くなる」
「申し訳ない。ここで今話すような話題特にないんだけど……」
「何それ」
千波が軽く体をぶつけてくる。
それを受け止めながら俺はもう一度言ってやった。
「だから寝ていいって。
と言っても後20分くらいで川越に着いちゃうけど。
とりあえず目だけ閉じとけよ」
そして千波の頭を俺の左肩に乗せるように押してやると、今度は素直に従ってくれた。
コテン、と俺の肩に頭を預けて目を閉じたかと思うと、
あっという間に、
落ちた。
「……早すぎ」
呆気ないほど簡単に寝入ってしまった千波に驚きながら込み上げてくる笑いを堪えるのに苦労する。
俺は耳元に微かな寝息を聞きながら、車窓に流れる景色をぼんやり眺めた。

