ガタン……ゴトン……ガタン……ゴトン……
昼下がりの中途半端な時間ということもあって、電車内は閑散としていた。
空いているシートに並んで座ると千波は
「暖かい…というより暑いね」
首元に巻いていたサーモンピンクのマフラーを外して息をついた。
たしかに暖房がよく効いているうえに外からの陽光が燦々と差し込む車内は暑いくらいだった。
陽射しは俺たちが座っている側の窓から注がれていて、背中や後頭部にかなり高い熱を感じる。
「シェード下ろすか?」
「ううん。大丈夫。
帽子も脱いじゃうし」
千波が被っていたモスグリーンのベレー帽を脱いで、静電気で立ってしまった髪を気にしながら手で撫で付ける。
「上だけじゃなくて、後ろも髪が立ってる」
笑いながら後頭部を撫でてやると、驚いたのかそれともくすぐったいだけなのか千波が首を竦めた。
「その帽子、使ってくれてたんだな」
「うん。最近は大学にもよく被っていってるよ。何で?」
「いや、てっきりクマさんにあげてしまったのかと…」
俺の言葉にブンッと首をこちらに向けた千波が
「そ、そんなわけないじゃん!」
慌てたように口をパクパクしていた。

