「ふぅ…。ウォーキングなんて久し振りでちょっと疲れちゃった。
イヤだね、おじさんは」
ベンチに腰掛けながら工藤さんは笑った。
「まだおじさんじゃないですよ…。
お兄ちゃんと同い年ですよね?」
答えながら0.5人分の隙間を空けて私も座る。
「正確には俺の方が1つ若い。
でも、千波ちゃんよりは6つも年上だよ?」
「全然おじさんじゃないです」
もう一度はっきり言い切って、隣に座る工藤さんの横顔をそっと見る。
お兄ちゃんより若いんだ…。
兄は大学に入るとき1年浪人をしているので、そういうこともあるだろうけど。
工藤さんの方がずっと大人びて見えたので意外だった。
私の兄はとても整った顔立ちをしているが、大きな二重の目が印象的なアイドル顔でちょっと幼く見える。
それに対して、工藤さんは奥二重で切れ長の目元が印象的なクールフェイス。
そして、とても落ち着いた雰囲気を纏っていた。

