「別に相談するほどのことでもないんだけどね。
カッコつけていい兄貴やり過ぎちゃってさ。
今さら本当の自分晒すのもどうなのかなーって思っちゃってるわけ。
千波の理想を大きく裏切りそうで怖い」
なるべく重くならないように軽い調子で話す俺を香折さんは首を傾げたまま見つめていた。
「参っちゃうよね。
妹みたいなもんだと思って家族愛は持ってたけど、それが1人の女性に対する恋愛感情に変わるとさ…。
こんなにも色んなものに悩まされるなんて想定外」
3杯目になるハーパーのグラスを片手に元いたスツールに戻った俺の顔が左側からまじまじと覗き込まれる。
「…………何?」
「嘘つき。それとも本気で鈍感なの?」
心底呆れたように香折さんが大きなため息をついた。

