「仕方ないよ。
もっと大きな夢を見付けちゃったんだもん。
そのテナントって、親父が自分でbarをやりたくて空けたままにしてたみたいなんだよね?
だから、その夢を俺が実現しますってーーー」
「それがバカじゃないの?って言ってるのよ!!」
俺の話を遮って香折さんがテーブルを叩く。
空の紙コップが俺の前で情けなく倒れて床に落ちた。
「お父さんはそのbarをシンくんがやることを望んでいたの? 違うよね?
シンくんには、自分のやりたいことやれって言ってたんじゃないの?
お父さんの夢はお父さんが自分で叶えるはずのものだったんだよ?
何かさ、甘えているだけに見える。
遺産が贅沢に使えるからって興味本意でbarやるなんて、ただのお坊っちゃんが言いそうなことじゃない。
……シンくん、見損なった。
お父さんも天国で嘆いてるよ」
その最後のセリフが俺に深く突き刺さった。

