香折さんとは疎遠になってしまっても完全に別れてしまったわけでもなく。
中途半端なまま俺は大学に休学届を出した。
この頃はまだ生活が落ち着いたら大学に戻るつもりだった。
まだ夢は具体化していなかったけど、児童心理の仕事に就きたいと思っていたし、その道を応援してくれていた父の思いに応えたかった。
だからその事だけは香折さんに告げておいた。
「家の方が色々と立て込んでるからしばらく休むことにしたよ。
落ち着いたらすぐに戻ってくるね」
大学に戻ったらまた今まで通り付き合ってほしいとどこまでも都合の良い甘えた考えを滲ませて。
何度訊かれても詳しい事情を口にしようとしない俺に呆れていたようだが、
「分かった。早く戻ってこれるように祈りながら待ってるね。
私も論文で忙しいし、今はお互いのことを精一杯やろう。
私も頑張るからシンくんも頑張ってね」
年上らしく寛大に俺のワガママを受け入れてくれた香折さん。
彼女の心の内側を全然知ろうともしないで、俺は自分のことしか考えてなかった。

