「それで私にも何も言ってくれなかったんだ」
寂しげな香折さんにもう一度深々と頭を下げる。
「本当にごめん。
あの時は誰にも甘えたくなかった。
全部俺が悪いんだと思ってたから、1人で背負いこむのが当然だと考えてたな」
今思えば、1人で勝手に突っ張って意固地になってた。
誰の助言も聞き入れようとしなかったし。
あの時、清海が何度も言ってくれていた。
『香折さんにくらい素直になれば?』
その言葉に耳を傾けておけば良かったのに。
父の死を境に思いきり狂ってしまった歯車をどうやっても止めることができなくて、俺は勝手に香折さんからも距離を取った。
付き合い始めてもうすぐ1年になるという時だった。

