父の死を受け止め切れず、気持ちの整理も全くつかないうちから親戚たちの猛攻は始まった。
父の葬儀で泣き叫び、出棺をさせまいと抵抗し暴れた母を哀れむでもなく、冷めた視線で眺めていただけの人たち。
母がどんな状態なのか分かろうともしないで自分達の主張だけをぶつけてきた。
それはもう悪夢としか言えない時間で、俺は自分がテレビドラマの中にでも入り込んでしまったのではないかと錯覚するほどだった。
父の遺志と母を守りたいという気持ちがあっても、20歳の学生だった俺は情けないほど無力だった。
何だか現実の世界から離れてしまったかのような日々。
1ヶ月もしないうちに、
母は、
壊れた。
そこまで追い詰められて、やっと俺は祖父の遺産相続の放棄を弁護士に依頼した。
父の遺志は報われず、俺たち家族が愛した場所はなくなってしまった。

