「何? 何それ? 」
豆を炒りすぎて香ばしい匂いをたて始めたフライパンを諦めて、俺は清海に向き直る。
「お前に会いたいんだって。
その前に聞いておきたいことがあるって俺が呼び出された」
「……千波を通して?」
「そう。
俺の妹が大学にいることを知って、探しだして伝言を伝えてきた」
俺の頭の中は、新しく入ってきた情報と
強制的に思い出すことになってしまった過去の記憶とで大混雑。
「……何で今さら?」
その一言しか出てこない。
香折さんとは3年前に別れたきり全く連絡をとっていなかった。
『私、割り切るの早いから。これきりだね』
そう言って去っていった彼女。
本当に何で今さら…。
「お前が一番大事なこと言ってなかったからだろ。
何でこの店を始めなきゃいけなかったのか、どうして香折さんに話さなかったんだよ?」
ウーロン茶を飲みながらサラッと吐き出された言葉に俺は目を見張った。

