ペリリ…
ペリリ…
清海が黙々と食べている間、俺は明日の仕込みとして落花生の皮剥き作業。
この店の看板メニューであるバターピーナッツは新鮮な皮付き落花生で毎日手作り。
剥いたらすぐにフライパンで少し時間をかけながら炒って、最後にバターと少しの塩で更に炒ったら余分な油を吸わせて冷まして出来上がり。
いい素材があって多少の手間を惜しまなければ誰でも簡単に出来る。
「それ、踊子に持って帰りたい」
相変わらずウメちゃんにデレデレの清海に少し複雑な感情を抱きながら
「そのつもりでやってます」
ペリリ…
ペリリ…
俺は落花生を剥き続けた。
食事を終えた清海は、氷の溶けかかったグラスをチビチビ傾けながら俺の手元を眺めている。
最近はウメちゃんとのノロケ話で饒舌な清海が今夜は大人しすぎる。
こういう時は何か言いづらいことがあるということ。
言いたいことは何となく予想がつくような、つかないような。
こちらから話を振った方が良いのだろうかと思った矢先
「あのさ、香折さんに会った」
ベキャッ!
思いもよらない名前を出されて俺は手にしていた落花生の殻を握りつぶしてしまった。

