「すみません。本当に違うんです。
私、こう見えても既に大学生ですから」
丁寧に頭を下げる。
勘違いだったけど、私を気にして声をかけてくれたことには感謝しなくてはと思った。
「大学生?」
「はい。すぐそこの大学の1年生です」
「なんだ。俺の後輩か」
「そうなんですか?」
目を丸くする私に巨人さんは何でもないように言った。
「ここの講師の半分はあの大学のOB。
学生の頃ここでバイトしてそのまま残ったヤツばっかだけど」
「へえ。お兄ちゃんだけじゃないんだ。そーゆーの」
無意識に呟いた私にすかさず反応が返ってくる。
「お兄ちゃん?何?お前、誰かの妹なの?」
「あ、失礼しました。
私、ここに勤めてる日吉清海の妹です。
兄がいつもお世話になってます」
改めて頭を下げた私を驚いたように巨人さんは見下ろしていた。

