バルコニー落下、シンタくんの元カノ登場事件から1週間が経った。
私はあの日以来落ち着いた日々を過ごしている。
今、私がすべきことは?
たまたまではあるが、あの日雪との電話で見つけることのできた答えのしっぽを見失わないようにしながら、私はゆっくりと考えていた。
それは、どうしたらいいのかさえ分からずにソワソワしていた頃に比べたら格段の進歩で、私は考えることを楽しんでさえいたかもしれない。
そして、私がシンタくんとどう向き合いたいのか。
その答えはほぼ骨格が出来上がってきている。
後は、出すことのできた答えに向かって具体的行動に移すだけだ。
でも、そこからは順調に事が運ばない。
何故なら、私には学生としての本分もあるから。
「大道具を作り終わったと思ったら、小道具に衣装にパンフに字幕?
一体どれだけ雑用があるのよ!」
「確かに…。たかが語劇祭って侮ってたかもね」
ゆかりちゃんに同意しながら、私はパソコンのディスプレイとにらめっこしていた。

