『…………そーゆーの恥ずかしいし、難しいし、私には無理』
「はい?」
やっと聞くことのできた雪の答えに戸惑う。
『だって、私は長女だもん。
すぐ下に妹たちがいたから親にもあまり甘えさせてもらえなかったし。
甘えることに慣れてないんだもん。
それに相手が渉だよ?
中学からずっと一緒で対等な立場にいた相手にカレカノになったからもっと甘えろよ…なんて急に言われても器用に切り替えできないよ。
なんか……恥ずかしい』
……可愛い。可愛いじゃないか雪。
初めて見る親友の一面に心が熱くなる。
『それに私はやっぱり渉とは対等で向き合っていたいなって思っちゃう。
そこが可愛くないって喧嘩になることもしょっちゅうなんだけどね。
そういう面では千波が羨ましい。
千波は好きな人にちゃんと甘えられるもんね?』
「うん……まあ、ね」
私は末っ子でもともとたっぷり甘やかされて育ったし、好きな相手も年上だから自然に甘えやすいし…。
そう続けようと思ったところで「ん?」と思考が立ち止まる。
シンタくんが年上だから甘えやすいとかおかしいよね?
そもそも私はシンタくんとどんな風に向き合いたいんだろう?

