「…………疲れた」
兄との電話を終えて抱えたままのテディに顔を埋めた。
怪我はするし、シンタくんの元カノさんは登場するし…。
なんて1日だったんだろう。
「綺麗なヒトだったな……」
香折さんの容姿を思い返してため息が漏れそうになるのを我慢した。
上京してシンタくんのそばに来れてから色んなことがあって、その度にため息ばかりついている気がする。
大切な初恋がため息まみれなんて…悲しすぎる。
香折さんは、容姿だけじゃなくて、全ての言動が大人でカッコよかった。
シンタくんと一緒のところを想像したらとてもお似合いで凹んだ。
シンタくんは、あんな大人っぽい人が好みなのかな?
私ってどちらかといえば童顔なんだよな。
元カノさんが同じ大学の人だとは知らなかった。
だけど、今日、児島くんから教育心理学の人が私を探してるって聞いた時に思い当たるべきだった。
シンタくんもかつては教育心理学を専攻していたことは知っていたんだから。
『俺には心理学なんて難しすぎて全く分からん。
シンタはすごい』
って兄が言っていたのを思い出す。
私も専攻する気はなかった。
香折さんは大学院まで出て、研究室に残ったと言っていた。
それだけ優秀な人だっていうことだ。
私の敵うところなんか1つもない……。
「は………………」
結局我慢できなくて盛大なため息を吐き出しそうになった時、テーブルに放り出していたスマホが鳴った。

