私は、この家の末っ子。
父は、兄と歳が離れて生まれた私を溺愛していた。
私だって高校卒業したらお兄ちゃんみたいに東京に行くんだから!
……とは心の中で言っておこう。今のうちは。
兄がこうしてマメに帰省してくるのは、私たち家族を気遣ってのことだと思う。
3年前まではもう1人いた双子の清雲兄ちゃんが亡くなってしまったから。
次男だった清海兄ちゃんは、突然この家の一人息子になった。
双子の兄の分まで何でも引き受けようとする清海兄ちゃんは、自分の目標達成のために東京の大学に行っているけど、家族のことは常に考えてくれている。
そんな兄を私は尊敬してるけど、ほんの少し可哀想だなとも思っている。
兄には絶対言えないけれど。