「俺から夏休みの宿題。
お兄ちゃん式の夏休みをきちんと過ごしてくること。
休みがあけたら、その成果を報告に来ること」
やっとフィルムを剥がしたシンタくんが私の顔に手を伸ばす。
「女子大生相手に宿題って……」
「うるさいよ」
ぺちんとおでこが叩かれて、新しい冷却シートが張り付いた。
「冷た!
分かりました…。治ったら水戸に帰る。
先生、報告は保護者同伴ですか?」
「また開店前の昼に1人で来ればいいよ。
ご褒美にランチ作ってやるから」
「ナポリタン食べたい」
「はいはい。分かったからまずは寝なさい。
もう少ししたらウメちゃんが来るから。
それまでは俺がいるから安心して」
「はい……」
あれ?そういえばなんでシンタくんが来てくれたんだろう?
今更そんなことを思ったけれど、私は目を閉じて、あっという間に眠りに引き込まれていった。

