「気持ちいい…」
とりあえず寝なさいと言われて再び横になった私は氷枕に頬ずりをする。
「まだ熱は高そうだな」
シンタくんが私に手を伸ばして額の冷却シートを剥がした。
「うん。でも朝と比べたらずっと楽になった」
「ならいいけど。
なあ、千波。治ったらまず実家に帰れよ?」
「えー?ついさっき話したいって言ってくれたばっかだよ?」
「それはそうだけど。
それは後でも出来るだろ?
まずはちゃんと帰省しなさいよ。
千波、一人暮らしして、こうやって病気もして親のありがたみがよく分かったんじゃないの?
長い休みはきちんと帰って親孝行する。
それと地元で友達とたくさん遊ぶ。
それが正しい夏休みの過ごし方」
「……そうなの?」
「そう言ってたよ。君のお兄ちゃんが」
シンタくんはクスクス笑いながら、新しい冷却シートのフィルムを剥がすのに悪戦苦闘している。

