シンタくんは私の前に立ち止まると氷枕を持ったまま頭を下げた。
そして、何度も辛そうに躊躇った後ゆっくりと口を開く。
「ごめんな、千波。
あの日、くだらないこと言って誕生日ぶち壊したよな…俺。
しかも、そのままほったらかしだったし。
最低だとは思ったけど、俺もどうフォローしていいのか分からなくてさ。
色々考えたいこともあったし…」
話している声は段々小さくなっていって、最後はごにょごにょになっていたけど、シンタくんの葛藤が私にはちゃんと伝わった。
「うん……」
小さく頷いた私を確認すると、シンタくんも頷いて今度ははっきりと私の目を見て言ってくれた。
「俺も千波とちゃんと話したいと思ってるから」
その言葉にものすごく救われて、スッと心が軽くなるのが分かる。
何か話すと泣いてしまいそうで黙ってコクンと頷いた。
シンタくんはホッとしたように氷枕を定位置に置いて私の頬を両手でムニュッと挟む。
「だから、まずは早く治しな。
千波、お前心臓に悪すぎだぞ?
ウメちゃんから電話もらった時も、
駆けつけるなり大泣きして倒れられた時も、
病院で熱が40度越えてた時も、
……それと、まあ……今もか……?
今日一日中俺の心拍はフィーバーしっぱなしだから」
シンタくんはそう言いながら私の頭をくしゃくしゃと撫でた。

