「ほら」
シンタくんが私を支えるように優しく起こしてくれる。
「ありがとう。
……それと……ごめんなさい…」
おずおずとシャツを返すと笑いながらそれを受け取りその場で羽織るシンタくん。
「しわくちゃ…」
シャツは私がずっと握っていたのでシワが寄ってしまっていた。
「いーよ、別に。
千波、病院で点滴するときも意地でも離さなかったもんな。
センセイが言ってたよ。
1人でよっぽど不安だったんだろうね、ってさ」
そう言いながらペキッとペットボトルを開けて私に差し出す。
「まだ喉が痛いだろうからゆっくり飲めよ?」
「うん。ありがと…」
素直に受け取って、ちびちびとスポーツドリンクを口に運ぶ私をシンタくんは黙って見ていた。
私は少し上目遣いでシンタくんを見返しながら
「その色のシャツ、まだ着てたんだね……」
「ん?あぁ、ミントグリーンだっけ?
そーね。まぁ、今日着てるのはたまたまだけど?
俺は1度気に入ったものは結構しつこく拘り続けるからね」
「そーなんだ…」
「そんなことよりさ……」
シンタくんは私の頭に1度だけ手を置いてから、今度は氷枕を持って冷蔵庫に歩いていく。

