シンタくんは玄関脇のキッチンまで歩いていって冷蔵庫を開ける。
「……ねえ……ずいぶんワイルドな格好してるんだね」
さっき目覚めたときから感じていた違和感をそのまま口にした。
シンタくんは、下はいつものジーンズ姿だけど上は霜降りグレーのタンクトップ一枚だった。
肩から先の腕が全部むき出しになっているし、タンクトップが体にフィットしてるから後ろ姿では背筋の動きまでしっかり分かってしまってちょっと目のやり場に困る。
私には兄がいてもその辺りの免疫はほとんどないのだ。
……てか、来た時のシンタくんってこんなだったっけ?
「好きでこんな格好してないわ。
お前が返してくれないからだろ」
私の言葉に顔を赤くしながらスポーツドリンクのペットボトルを手に戻ってきたシンタくんが私の手元を顎で示す。
「え……?あ、あれ……?」
その仕草で私は自分の右手にミントグリーンのシャツを握りしめていることに気付いた。

