「……それ、最大の泣きどころまだ結構先だよ…?」
思わずボソリと呟いた私にシンタくんは相当びっくりしたらしい。
「わ、わぁー!」
絶叫と共に手にしていた本を取り落とした。
「ア、アホか!
気が付いたならそう言いなさいよ、バカ」
赤い目をして私の方へ振り返りアホ、バカ連発の猛抗議をする。
……シンタくんってこんなだったっけ?
「気が付いた。
……ってか、私、やっぱり気絶してたの?」
まだボーッとしている頭で起き上がろうとした私の肩を押さえて、シンタくんが私を氷枕に押し付ける。
「ええ。そうですよ?
人の顔見るなりわーっと泣いてずるずるぱたんと倒れましたよ?」
そのまま真上から至近距離で顔をまじまじと見つめられる。
熱で頭がボーッとしてなかったら、間違いなく顔から火を吹いているところだ。
「……顔色大分マシになったな」
ふっと表情を緩めて笑顔になったシンタくんが私の頭をよしよしと撫でてから、立ち上がった。

