「こちらこそ、本当にありがとう。
色々びっくりしたけど、すごく楽しかったし、スッキリした。
うん、久々にすっごくいい気分だよ」
軽く伸びをしてから頭を下げた私に、カイチくんは安堵したように息を1つついた。
「それなら良かった。
実は、随分ベタなことしちゃったかもって後悔しそうだったの、俺」
「そんなことないよ!
確かに面喰らったけど、本当に楽しかったってば」
ブンブンと首を振る私にカイチくんは照れたように頭を掻いた。
「渉(ワタル)がさ、俺のこと発想力が貧困で単純すぎるベタ男だっていつもバカにするから。
日吉に告白したのも卒業式の屋上なんて捻りが無さすぎるって言われたし。
でも、そういうことしか思い付かないんだ」
渉というのは、竹田くんのことだ。
ベタ男とは、随分容赦ないこと言うんだな、と思いながらもつい吹き出してしまった。
そのまま笑い続ける私を見て、カイチくんも笑いだす。
私たちは、何がおかしいのか分からなくなりながらもしばらく笑い続けていた。

