大学を過ぎたあたりからどんどん緑が濃くなってきた。
「もう少しで大きな公園があるんだ」
「そこが目的地?」
「まぁ、そうかな?」
カイチくんはイマイチ歯切れの悪い返事をしながら、ちょっといたずらっぽい笑顔を浮かべる。
足を踏み入れた公園は本当に大きかった。
子供が遊ぶような遊具のある公園ではなくて、広大な芝生の絨毯が広がり、その周りが遊歩道になっていて色とりどりの花と緑の木々が植えられている。
芝生の上には夕陽の暖かい光を浴びながらサッカーボールを蹴る子供たちや、のんびり並んで座って会話を楽しむカップルの姿が見える。
「気持ちいー!!」
私は思わず叫んでいた。
目の前の突き抜けた風景は、私が上京してからひそかに感じ続けていた閉塞感が全くなくて本当に気分が良かった。
「いいとこだろ?
大学のやつらとよく来るんだ。
あっち歩いてみようか?
日吉がもっと気に入る場所があるから」
カイチくんが右の方向を指差して、また歩き出した。

