「さてと……。
夕方っていってもまだ全然明るいんだな」
腕時計で時間を確認したカイチくんが3歩くらい後ろを歩いていた私を振り返る。
「日吉、まだ時間ある?」
「え?
あ……うん。大丈夫だよ」
ちょっとびっくりしたけど、このまま家に帰るつもりだった私はカイチくんに頷いてみせた。
「じゃあさ、散歩しない?」
「散歩?」
「あのパンケーキメチャクチャうまかったけど、ちょっとカロリーオーバーだからさ。
その分消費するために歩かない?」
最近、太ってきたかも…と気にしていた私は迷わず頷いた。
「じゃあ、こっち」
さっと方角を決めて歩き出すカイチくんには、目的地がはっきり定まっているみたいだ。
私も明るいけれど昼間とは違ってオレンジ色が濃くなった街並みをカイチくんの背中を追って歩き出した。
距離は3歩くらい離れたまま。

