「とても素敵なヒトだね」
カイチくんが下のレジで接客をしているくららさんを見つめて言った。
そのすぐ隣では透さんが何種類かの花たちをバランスよく組み合わせてアレンジを仕上げていく。
「うん。
ご主人の透さんも素敵なダンナさまなんだよ。
あの2人は私の憧れなんだ」
「だからここに通いつめてるんだ」
「まあ、そんなとこ」
美味しいパンケーキのおかげで私たちは以前通り会話が進むようになっていた。
しばらくぶりのカイチくんは髪が少し伸びて顔つきもシャープになったように見える。
さらっと着こなしている濃紺のポロシャツは、襟の裏側と袖口だけが水色の花柄に切替になっていて可愛らしくてお洒落だ。
なんか大人びたな……。
そう思ったら、ちょっとだけドキッとした。
「ねえ、大学はどう?」
「メチャクチャ楽しい。ビーチバレーのサークルがあってさ。迷わず入ったね。
だって、あれなら俺だって攻撃参加できるじゃん?
後、一人暮らしも最高。
俺、ずっと弟と同じ部屋だったから独り占めできる空間が嬉しすぎてさ。寂しいとかも全然ない」
「ハハハ…。ほんとに楽しそうだね。
っていうか、カイチくんはバレーで攻撃参加したかったの?
セッターが似合ってたし、気に入ってやってるんだと思ったよ」
「うーん、実はビミョーだった。
だってたまにはスパイク決めてみたいじゃん?」
「そうなの!?」
私は本当に久し振りに友達との会話を楽しんでいた。

