また大きなため息が漏れそうになるのを慌てて堪えた。
あぁ、目の前の幸せオーラにあやかりたい…。
「甘っっ」
一口飲み込んだアイスティーはシロップ並みに甘くて、私はグラスをテーブルに戻す。
「ぶっ……」
何もかもにムシャクシャして髪を掻きむしろうとした私の頭上で突然クスクスと笑い声が聞こえて、ずっと伏せたままだった視線を上げた。
一体どこの誰よ?
ネガティブ真っ最中の私を笑うのは。
「…………ウソ……」
囁くように呟いたまま完全に固まる。
「何やってんの?日吉。
ちょっと前からあそこで見てたんだけど、百面相でブツブツ言ってて面白かった」
カフェスペースの入口を指差しながらにっこり笑ったその人は…。
卒業式、屋上ーーー以来の再会。
鷹野加一郎…生徒会副会長だった。

