ああ、何で。
何で、いつもこう……。
「はぁー……」
盛大なため息を吐き出した私を前のテーブルに座っていた女性が振り向いた。
ヤバ……。
首を竦めて小さく頭を下げた私に同情的な瞳でゆったり微笑んだ女性は前に向き直る。
彼女の肩越しにテーブルの上に見えたのは、某有名出版社の結婚情報誌。
あー、私と真逆の人だ…。
背中からでも幸せオーラがビシバシ出てるじゃん……。
と、またため息が漏れそうになるのを堪えた。
私とシンタくんも真逆だ。
このまんまを望むシンタくんと。
このまんまでは満足できない私。
私たちはどこまでいっても平行線で、決して交わらない。
今までに何度も線が近づいたことはあると思う。
だけど、交わる寸前で必ずブレーキをかけるのはシンタくんだ。
その度に打ちのめされながらも
『負けないもんね!』
と闘志を奮い立たせて頑張ってきた私。
だけど、今回は。
闘志も。
涙も。
……枯れた。

