「今日で試験が終わったんで。
すみませんでした。図書館でもないのに何時間もここでノート広げさせてもらって」
恐縮する私にくららさんは尚も優しく微笑みながら
「うちはいいのよ。
何時間でも好きなように過ごしてもらって。
それだけここが居心地いいと感じてくれてるわけでしょ?
でも、こんなトコで集中できるのかしらって心配はしてたのよ。
私もあの人も。
繁盛店ではないけど、それなりには人の出入りがあるからうるさかったでしょう?」
「ハハハ……。確かに静かさだけなら図書館なり自分の部屋なりでしょうね。
でも、ここが一番落ち着くんです。
疲れたら下のグリーンを見て目を休められますし」
私がそう言うと、くららさんは「そっか」と嬉しそうに頷いて、銀のトレイを胸に抱えながら下がっていった。
いいな。
くららさんと話すと癒される。
暖かい気持ちになりながらアイスティーにガムシロップを注いで、私はよく冷えたグラスを手にした。

