「……何いきなりしょーもないこと言ってんの?」
「んー、何となく?」
私はそれだけ言って、じっと洗い物を再開したシンタくんを見つめる。
お皿2枚分返事を渋っていたシンタくんは根負けしたようにため息と共に言った。
「俺がそーゆー縁から遠ざかってること千波だってよく知ってんじゃないの?
兄貴にリサーチすれば何でも教えてくれるんだから」
確かに。
そしてそのリサーチ結果では、さっきの思い出話でチラリと出てきた年上の彼女さん以来シンタくんにはそれらしい人がいないということになってるんだけど。
彼女いない歴、推定3年。
『店を始める時に別れてからなかなかその気にならないみたいだな。
店の客からモテてるらしいけど、
客は絶対そういう対象にする気にならないんだとさ。
…………勿体ない』
最後の一言は聞き流し、そんな兄の話を聞いて、その考えが変わらないことをどれだけ祈り続けてきたことか。
さっき元カノさんの話なんて聞いてしまったからちょっと気になってこんなことを聞いてしまった。
シンタくんは少し呆れているようだったけど、それ以上は何も言わなかった。

