「シンタくんここ昼間も営業すればいいのに」
「何それ?」
全てを食べ終えてお皿を下げていたシンタくんが振り向く。
「だって、こんなに美味しい料理が作れて、スイーツも最高だし。
barもいいけどカフェとかも出来そうだなあって思って」
私はシンタくんが持ちきれなかったグラスを手にすぐ後ろをついて歩いていた。
「ふーん」
シンタくんは気のない返事をしてカウンターの中へ。
私はグラスを差し出しながらその前のスツールに座る。
「誉めてもらえるのはありがたいんだけどね。
こう見えて結構忙しいの。俺。
あまり働かせ過ぎないでくれる?」
「ふーん」
カウンターに両肘をついた頬杖の姿勢で皿洗いを始めたシンタくんの横顔を眺める。
手伝おうか?って言ったのに
「全部大事な皿だから勘弁して」
と断られた。
「忙しいって、たとえばデート、とか?」
ボソリと言った私を泡だらけの手を休めてシンタくんが振り返る。

