殆ど私が喋り倒し、目の前のシンタくんに見惚れていたら食事のペースはかなり差がついてしまっていて、私が半分食べ終えた頃にはシンタくんの食事はすっかり終わってしまっていた。
「……食べづらい。そんなに見ないでよ」
「だって他にすること何もないし。
千波が食べ終わらないとデザートも出せないし。
ま、気にしないで君のペースで食べたまえよ」
シンタくんは頬杖をついて、何故か楽しそうに私を眺める。
「なんか意地悪…」
好きな人と向かい合ってご飯を食べるって結構大変だ。
それでもお喋りのペースを落として食べることに集中し、私もなんとか食事を終えた。
「ごちそうさまでした」
改めて頭を下げるとシンタくんはちょっと照れたように
「別に大したことしたわけじゃないから。
それにまだデザートあるし。
それよりさ、元に戻したんだな」
ごく自然に前から手が伸びてきて、シンタくんの指先が私の頬に触れた。

